キミは大切な人


「……ったく。未練がましい女って、最悪だな」



煙草をふかしながら、彼は眉間にシワを寄せ、ベッドにごろりと寝転がる。



「……なんか、かわいそう」



あたしがぽつりとつぶやくようにして言うと、彼はフッと鼻で笑い、身体を起こす。



「しかたないだろ? はっきり言わないとさ」


「……そうだけど……」



今はあたしだけ。

そうはっきり言ってくれるのは、女としてとても嬉しい。


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