キミは大切な人
あぁ、そうだった。
確か彼は言っていた。
あたしを振るときは、優しい振り方をするって。
むしろ、感謝するくらいだって。
それにあたし……。
彼から“好き”という言葉を、一度ももらっていなかった。
「ありがとう」
彼女も同じように、幸せそうな顔であたしに感謝する。
つまり。
あたしは、倦怠期を乗り切るための“道具”に過ぎなかったってこと。
そして、あたしへの愛は、最初っから存在していなかったんだ。
それなら、あたしも――……