猫っかぶり彼氏。〜天然王子=俺様彼氏①〜
それから、私達は『顔見知り』になった。
レジを打つほんの数十秒、私とシオは世間話をした。
そのほとんどが、
『今日は暑いですね〜』
とか、
『首相また代わりましたね〜』
とか、たわいもない話だった。
そんな話の中、私はシオの事を知っていった。
ワタナベシオン
渡辺紫恩っていう難しい名前であるとか、
大学で心理学を専攻している、とか。
彼の微笑みを見る度に、私の錠は粉となって流れていく。
内気な私が、こんなにも男性に心を開いたのは、
元彼、以来だった。