猫っかぶり彼氏。〜天然王子=俺様彼氏①〜
「お客様〜!困ります〜!」
女将が、走りにくそうな着物で私達の元に来ようとしていた。……意外とスピードが速い。
隣には、いかにも強そうな板前を連れて。
「ヤバイ、那智、逃げるぞ!」
シオは私の手を引いて走った。
「え?あ、うん!」
私は、シオに半ば引きずられるようにして、その場を後にした。
まさか、シオがこんなに強い、なんて。
思いもしなくて。
口はポカンと開いたまま、シオの背中を見つめていた。