猫っかぶり彼氏。〜天然王子=俺様彼氏①〜
できるなら、シオにリードして欲しい。
さっきのジョークのようなものではなく、もっと真剣に。
そして、私が恥ずかしがることが出来ないよう強引に。
しかしシオの性格では、それは無理というもの。
…シオは完全に、のほほん天然王子様なのだ。
「ねぇ〜ナチ〜」
「何?」
「ゴキブリホイホイ買ってきてあげようか?」
シオは膝立ちになった。
「そうだね、また買い足しとこうかな……私お昼作るからさ、お願いしていい?」
「いいよ〜、自転車貸してね」
勢いよく立ち上がるシオ……は自分が積んでいたマンガの山につまづいてよろめき、私が趣味で弾くキーボードの脚で右足の小指を強打した。
「ぐっ……」
引き攣りながら必死で笑うシオを玄関まで見送り、私は料理の続きにかかった。
また、ネズミホイホイと間違わなきゃいいけど。
そんなことを考えながら。