猫っかぶり彼氏。〜天然王子=俺様彼氏①〜
降って来た温泉旅行
シオの足音が聞こえた。
シオの足音は独特で、シオが近づいているのか、それとも他人なのか。簡単に聞き分けられる。
友達に同意を求めたら、『そんなのあんただけよ』って一蹴されてしまったけれど。
「ただいまっ!」
ほら、シオだ。
「お帰り〜遅かったね」
私はキッチンから声をかけた。盛り付けに手が話せなかったから。
今日は茄子のミートソースパスタ。ついでに言えば、茄子はシオの大好物。
−−昼ご飯、出来てるよ
早く食べて欲しくてそう言おうとした私に、彼は後ろから勢いよく抱き着いた。
シオは背が高いから、覆いかぶさるように抱き着く。正直、重い。
「ちょ、シオ、どうしたの?」
「すっごい、いい知らせだよ」
シオの目は輝いていた……、爛々と。