猫っかぶり彼氏。〜天然王子=俺様彼氏①〜
シオは、私をくるりと向き直らせてから、仰々しい封筒を私に見せた。
ギラギラとした水引の間から見える、『特賞』の文字。
私はいきなりのことにあっけにとられた。
いや、正確に言えば、頭の隅にはパスタが残っていたけれど。
「何なの?それ。」
素直にそう聞くと、シオは待ってました、とばかりに早口でまくし立てた。
「商店街の福引きで当たった!なんかね、今まで適当に財布に突っ込んでた福引き券集めたら2回回せてね、なんと特賞!」
もう、それはそれは嬉しそうに笑うシオ。
彼の笑顔を見て、つられて笑う私。何、ゴキブリホイホイでも当たったの?
商店街の福引きなんて、どうせたいした景品じゃない。
でも、正直にそう言うのも気が引けたから、素直に喜んだふりをした。
「すごいじゃん!なんなの?景品って」
「なんとね、伊豆温泉旅行2泊3日!しかもペア!」
私は虚をつかれて、思わず聞き返した。
「嘘だ!本当?」
「本当だって!!」