猫っかぶり彼氏。〜天然王子=俺様彼氏①〜
私は、今の記憶を抹殺しようと目を閉じる。
あれは、夢。悪夢。
私の部屋に、あんなおぞましい物が存在する訳ないもの!
野菜を洗った水滴がまだ両手に残っていたから、拙い手つきでエプロンの裾で拭った。
シオ、
早く戻って来て!
「ナチ。もぅ大丈夫だよ」
最愛の人の笑顔。それは、私に安堵をくれる、最大の魔法。
「手、洗った?」
「うん、台所洗剤で2回ほど。すっすいだ瞬間キュキュッと、ってね」
そして、彼は私を抱きしめた。