猫っかぶり彼氏。〜天然王子=俺様彼氏①〜
シオは笑われたことに腹をたてたのか、少しむくれて言った。
「もうっ、なんでもいいから!早く出発するよ!」
……むくれるってことは、今のは素で間違ったってことだね……
私は少し笑い気味で。
「そんなにウキウキするなんて小学生みたいね」
「なんとでも言いたまえ」
シオは腰に手を当てて胸を張る。そこ、威張るとこじゃないと思うんだけど…
「あ、そうだ。靴はペタンコのやつで行きなよ?カカト高くないやつ」
シオは真剣な表情に切り替え、腰の手を下ろした。
「え〜嫌だよ。この服には合わないもん!今日履くサンダル、もう決めてるの」
せっかく完璧なコーディネートを考えたのに、今更変えたくない。
9センチヒールのサンダル。
今月号の雑誌にも乗っていた。約3万円。バイト暮らしの身には、けっ……して安いものではない。
だって、大切な日なんだもの。
オシャレしたい。それくらいの出費、屁でもない。