猫っかぶり彼氏。〜天然王子=俺様彼氏①〜
「シオの手って、大きいよね。いつも思ってるけど」
私は繋いだシオの手をまじまじと見つめた。
大きくて、骨張った、シオの手。
小さくて頼りない私の手とは比べものにならない。
「そう?男の手ってこんなもんじゃないの?」
「大きいよ〜、あの時だって…ふふ。」
私は、シオと初めて『個人』として話した日を思い出していた。
そう、10円チョコの日。
「あの時って?」
「初めて話した日。ガムのかわりにチョコ買ってったの、覚えてない?」
「ああ、あの時ね」
シオはふと、遠い目をした。