猫っかぶり彼氏。〜天然王子=俺様彼氏①〜
「那智に嫌われたくなくて……抑えてたんだけどな、今まで」
不敵に笑みを浮かべるシオ。
ふと目をそらして、また深く、私を見つめるまなざし。
緩やかな風になびく髪。
キリリと結ばれた、薄い唇。
違う。
見た目はシオだけど、私の知ってるシオじゃない。
……誰?誰なの?
私は怖くなって、後ずさった。
「きゃ…」
「那智、危な」
グラッ
私は道路の段差につまづいて、派手に尻餅をついてしまった。