猫っかぶり彼氏。〜天然王子=俺様彼氏①〜


彼はいつも、夕方の5時頃には現れた。


ジャムパン、
オレンジジュース。


それがいつもの彼の夕食。


そしていつも、


『あ……これも』


レジの横に置いてあった、100円程度の板ガムを2つ買っていくのだった。


私は毎日、彼が来るのを待っていた。


確かにシオはかっこいい。それは認める。並んで街を歩くとき、すれ違う女どもが振り返ることからも、明らかな事実だ。

モデルのような体つきに、二重の大きい真ん丸の目。鼻筋はピッと通っているし、芸能人と比べてもひけをとらない。

でも、私はその時、『男』に過敏になっていた。

モテる男ならなおさら悪い。

だから、彼を待っていた、というのは、下心があったわけではない。


ジャムパンがクリームパンになるのを、オレンジジュースがアップルジュースに変わるのを。


その瞬間を見てみたかった。


ただそれだけ。





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