ティップオフ
ピーッ!
試合の終了を告げるブザーが鳴ったと同時にワーとかキャーだとかいう歓声が会場いっぱいにあふれ出した。
「……………」
まだコート内で固まったままのチームメイトたちと足の先に転がるボールを見て、罪悪感が押し寄せる。
─試合終了の数秒前、私は相手チームからファールをされてシュート権が与えられた。
「頑張れー」
「入るよ」
と言う仲間の声と期待の眼差し。
その時の点差はわずか1点で、私たち弥生ヶ丘中が負けていた。
…そんな中でのフリースロー。
シュートは2回。
両方決めれば逆転勝ち。1本決めれば延長戦、入らなければ……。
色んな感情が一気に押し寄せて、私の身体はきっと周りから見ても分かるくらい震えていて。
一度深呼吸をしてから、シュートフォームに入った。
ガンッ!
ゴールのリングに当たって跳ね返ってくるボール。
「……あ、」
1本目のシュートは外れた。
身体が余計に震え、息が荒くなる。
次、外したら─
頭に浮かぶのはそんな言葉で。
落ち着かないまま、最後の1本。
ボールが手から離れた。
ガダン…
「…………」
会場が静まり返る。
リング上で不安定に揺れるボール。
私は生唾を飲み込んだ。
ダンッ
…直後、リングから落ちてきたボールに私は手を出すことすら出来ずにいた。