ティップオフ
試合序盤から弥生ヶ丘中は完全に気圧されていて、プレーが安定しないまま前半戦は終了となった。
しかし後半戦に入ると『追い風が吹いた』とでも言おうか、パスも上手く回りシュートに繋げることに成功。
そこから弥生ヶ丘中の快進撃が始まった。
ヒートアップする会場内と、だんだんと顔色が良くなってきたチームメイトを見ると徐々に落ち着いてきているのが自分自身でよく分かる。
「大丈夫…」
緑ちゃんの言葉を思い出すように繰り返し靴紐を結び直した。
"きっと大丈夫"
─そして試合終了数秒前。
勝利のチャンスが訪れた。
しかし、今思えば相手チームが私にプレッシャーをかけないでいてくれていたことは徒情けだったのかもしれない。