飴恋
公園につくとブランコに座ってじっと携帯を見つめる健二くんがいた。

私は静かに隣のブランコに座った。

健二くんがゆっくり顔をあげ、私を見て笑顔になった後、少し驚いた顔をして

「その缶、まだ持っててくれたんだね」

と言うとまた笑顔になった。

その缶とは幼い頃の、健二くんが引っ越す日、泣きじゃくる私に健二くんがくれたさくらんぼの形をした缶だった。

もらった当時はしていた健二くんが大好きなさくらんぼの飴のにおいも今はしなくなり、ぼろぼろになってしまった缶を
今も私は大事にしていた。
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