気付けば溺愛
「はぁ~。私も溜息つきたいよ」

化粧室の鏡の前で私も溜息一つ。

既に化粧直しを済ませていつでも戻れるけど、何となく躊躇してぐずぐず。

拓真の様子がいつもと違う事が胸騒ぎを起こして、不安になっている。

そう、不安でいっぱい。

…いつまでもそうしてるわけにもいかなくて、化粧室を出ようとしたら、

「いたいた。そろそろお開きにするよ。全くこんな調子で披露宴までに間に合うのかなあ」

と言いながら同期の芽依が入ってきた。

「みんなまだ飲んでるの?」

「ううん。打ち止め宣言して、テーブルの上の酒は撤収してもらった」

「……さすが」

同期のしきり屋の芽依は、こういう時手際が良くて助かる。
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