恋めぐり
「今日は歌わないのか?」

その日の店が終わる間際にカインが来た。

客のまばらの店内、店の端においてあるピアノを弾いていると、カインはグラスを持って側にきた。
「あんたが来る前に歌ったから」

「そうか。何かあったか?」

「別に、」

「ならいいけど。今日はお前の雰囲気がなんか違う」

「何もない。それよりあんたがなんかあったんじゃないの?血の臭いがする」

「あぁ。仕事でな、指名手配のテロリストが町に入り込んだって情報がはいってな」
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