恋めぐり
「休めば良いのに」

「お前の歌が聞きたかったんだ。疲れが吹っ飛ぶ」

恥ずかしげもなく言うカインの言葉に少し、気恥ずかしさを感じながら手当てを続けた。

「ありがとう」

「どういたしまして。帰って休みなさい」

「お前の歌を聞かせて欲しい。駄目か?」

その姿が、おあずけをされている犬の様に見えた。

「昔から動物と子供に弱いな」

呟くと、大きく息を吸った。
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