恋めぐり
大きな手は汗で濡れていた。

大きな手、好き。

この手で頬を撫でてくれるのが好きだった。

逞しい腕と身体、好き。

私を強く抱きしめて、受け止める腕と身体が、幸せだった頃を思い出させてくれた。


低くて通る声、好き。

私の名前を呼ぶ声が過去にうなされる私を救ってくれた。

澄んだ瞳、好き。

その目で見つめられると、愛されてるのだと感じられた。
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