恋めぐり
室内が静まり返った。

私にいつもの、視線が降り注ぐ。

可哀相の類の視線。

慣れてるけど、気持ちの良いものじゃない。

「土方さん、図書館に行って昔の新聞読んで来て下さいよ!」

「…悪ぃ。けどな!親がいないからこそしっかりしないと駄目だ!亡くなった両親も浮かばれねぇよ!オレがお前の排他的な精神を鍛え直してやる!」

土方くんは私にあの視線を向けなかった。

「直江!今日から臨時風紀委員とする。良いよな、藤堂さん」

「オレは構わないが」

「あらら、藤堂さんが許可したとなったら、直江先輩逃げられませんよ。秋田政宗(あきたまさむね)です。よろしく」
< 56 / 217 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop