恋めぐり
土方くんは腕時計を見て息をはいた。

「部活?」

「おぉ、剣道部なんだ。オレだけじゃない、坂本さんも秋田も同じだ」

「そう」

土方くんは楽しそうに部活のことを教えてくれた。

三人は昔から剣道を続けているということ

来年度はインターハイ出場を狙っているということ

本当なら部活に行きたいんだろうけど、委員会の仕事もしなくてはいけない。

そんなジレンマに彼は苛まれているのが手に取るように分かる。

「土方くん、さっきからソワソワして鬱陶しいから部活に行ってきなよ。ここは私がやっておくから」

「あ?何言ってんだよ、んなことできるか!」

「別に逃げないし。自分で言って逃げるのなんてかっこ悪い。それに、土方くんも逃げてた方があとから私を責め立てる口実が出来て良いんじゃない?」

土方くんの眉間にシワがよっている。
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