恋めぐり
倒した男達の財布を漁りながらオウリは舌打ちをした。

その姿に歌姫の可憐さは微塵もない。

「貴様…一体何者だ…」

意識を取り戻したカインは眩む頭を抱えながら身体を起こした。

「歌姫兼用心棒。厳つい男が店の中にいたら、飲みづらいでしょ」


コツコツとヒールを鳴らしながらオウリはカインに近づいてきた。

カインの懐に手を突っ込むと、財布を取り出して、金を抜き取った。

「酒代、割れたコップテーブル椅子の修理代確かにいただきました」

「ぼったくりじゃねぇか!」

「店に迷惑かけたんだから当然よ」

「用が済んだらさっさと帰ってね」

オウリは集めた金をカーラに渡してカインに手を振った。
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