蓮ーRenー
「紫葵…時間ないよ?!」
女の子の後ろに居た子が口を開いた
「でも…」
「あ、もう大丈夫ですので行って下さい。用事、あるんですよね?」
「あー、はい…じゃ、これ」
女の子は申し訳なさそうな顔をしながら私にハンカチを渡した。
「まだズボン濡れてますし使って下さい。…ほんとすみません」
「大丈夫ですから…!」
「いや、使って下さい。では」
私に無理矢理ハンカチを渡し一回お辞儀をするとドアに向かって走って行った
「あっ…」
私は名前をききわすれたのを思いだし
トレーをテーブルに置き女の子の後を追った。
出ていった後だったためすぐに追い付いた。
「あのー!」
「…?」
「名前…聞き忘れてました」
「…あっ、紫葵です!し き!えー…名前は?」
「准丞です。ハンカチ…返すのどーしたら?」
「あ、別にいいですよ返さなくて」
「でも…」
「じゃ…たまに原宿いるんで会ったときで!」
「あ、はい」
「では!」
紫葵さんはお辞儀をして駅のほうに走って行った。