極 彩 グ レ - ス ケ - ル
「…なにか、あった?」
あたしがようやく振り絞った質問に、
ネオはしばらく答えずにうつむいていた。
しびれを切らしたあたしが、
もう一度同じ質問をしようとした時だった。
ネオが急にあたしの腕を強い力で引っ張った。
バランスを崩したあたしの身体は、
ネオに受け止められ、
強く、抱きしめられていた。
なにが起こっているかわからないまま、
あたしはネオの鎖骨のあたりに顔を埋める形で
ネオの腕の中で硬直したままでいる。
ネオの表情は見えない。
「…どうしたの、ネオ」
「…ねえ、色」
ネオはあたしの名前を呼んだ。
心臓が今更大きく脈打っている。
その、悲しい響きの声。
「…なに?」
「まだ、目が見えなくなったら死ぬつもりでいる?」
え?と聞き返そうとした。
あの、暗室での会話が頭をよぎる。
その質問の意図がわからなくて沈黙したあたしの
肩を、ネオは強く抱きよせた。
その骨張った手が震えているのに気づいた。