極 彩 グ レ - ス ケ - ル
開け放たれた窓から風が入ってきて、
耳にかけていた髪が落ちて顔にまとわりつく。
せっかく彼の写真を見ていたのに。
そっと優しい指先が伸びてきて髪をすくってくれた。
それから、
優しく頭を撫でてくれる。
私にとって。唯一無二の人。
美しく、強く、優しい人。
「…ありがとう」
「ん、いいんだよ。喉はかわいていない?」
「大丈夫。それよりも、これはどこ?」
「ああ、うちの学校からは夕日が海に
沈むところが見えるんだ。綺麗だろ?」
「ほんとうに綺麗…やっぱり才能がある」
「…ありがとう」
そんなやりとりのあと、一瞬の沈黙が訪れる。