極 彩 グ レ - ス ケ - ル
恐る恐る近くの机に腰掛けた。
彼は隣の机に、がちゃがちゃと
理科の実験用具を置く。
三脚、石綿金網、アルコールランプ、
温度計、ビーカー、マッチ。
「コーヒーは、飲める?
それとも紅茶の方が好き?」
「えっと、紅茶が好きです」
「茶葉はなにが好き?」
「アッサムが好きですが
何でも飲めます、本当に」
「大丈夫、おれもアッサムが
一番好きだからさ。砂糖は?」
「ひとつ、で」
「わかった」
彼は、慣れた手つきで未開封
のミネラルウォーターを大きな
ビーカーに注いだ。
アルコールランプにマッチで火を
灯し、実験のようにビーカーの
水を熱しはじめる。