極 彩 グ レ - ス ケ - ル

振り返ると、彼がこっちを見て
微笑んでいた。

「もしよかったら、紅茶を飲み
ながらでも名前を教えてくれない?」

ビーカーの中では透き通った
色のついた液体が揺れていた。

ざぁっと、外で風が吹いて

窓から部屋に入ってきた。

桜の花びらが数枚、
舞い込んできた。



嗚呼、綺麗だな、

純粋にそう思った。
< 20 / 117 >

この作品をシェア

pagetop