極 彩 グ レ - ス ケ - ル
「でもあたし、目が」
「関係ないよ」
「写真なんて撮れません」
「撮らなくていいよ」
「でも」
「嫌?」
「嫌じゃ、ないですけど…」
「よし、決定。これ入部届」
「あ、はい」
「新入部員なんて久々だなぁ」
「っていうか、なんで一人なんですか?
そんなに人気ないんですか?」
「失礼だな。基本的に部長の
審査がいるんだよこの部活。
厳しいんだなぁこれが」
「部長?」
「俺だけど」
「審査って?」
「まぁいろいろとね」
「あたし、大丈夫なんですか?」
「あんなに綺麗なピアノが
ひける人なんだから間違いないよ」
「写真と関係ないんじゃ…」
「芸術とは魂です」
意味のわからない断言を
して、彼、ネオは煙を吐いた。
「よろしくね、色。
あと、俺とはタメ口で話すこと」
微笑んだネオがあまりに
綺麗で、生まれてはじめて
男の子に名前を呼び捨てにされて、
とくん、と胸が鳴った。