極 彩 グ レ - ス ケ - ル
「うん。あたし、いつか必ず
失明しちゃうんだって」
自嘲気味に言う。
「そうなの?」
ネオは相変わらず
優しい表情。
今まで自分から誰かに
話すことは殆どなかったことを、
何故か自分から話している。
ー失望されるなら、早い方がいい。
「うん。小さいころから言われて
きたことだから、もうどうも
思わないんだけどね。心の準備
はできてるっていうか」
「嫌じゃ、ないの?」
「そりゃ、嫌よ。見えなくなれば
確実に生活は不便になるし、今
この視力でできることさえでき
なくなってしまうもの」
「…色は、さ」
「ん?」
「この世界を美しいと思う?」
突拍子もない質問に驚いた。
でも、ネオは表情を崩さないまま、
まっすぐにこっちを見ている。