極 彩 グ レ - ス ケ - ル

「色は、強いね」

ネオはなぜか寂しげに笑った。

「ありがとう」

多分あたしは、強くなんかない。

強がってる、だけなのだ。

「そろそろ帰ろうか、色」

窓の外を見ると暗くなりつつ
ある空が、目に入った。
黒が、流れこんでくる。

「うん」

「送っていくよ。歩き?」

「うん。ネオは?」


「途中までは歩きだよ」

「途中まで?」

「まぁ、ついておいで」

「うん」

ネオはまわりの物を簡単に
片付けて、部室に鍵をかけた。

三階の端にある部室から、靴箱
に向かう。学校の中はうす暗く、
もともと悪い視界が更に悪くなった。
ネオは階段をまた軽やかに下るが、
足元が覚束ないあたしは、手すり
につかまりながら一段一段、階段
を降りた。途中でネオが立ち止まり、
こっちを見上げて納得したような
表情をした。

「ごめんね、ちゃんと見えなくて
階段怖くってさ。やっぱりひとり
で帰れるよ。先行っていいよ」
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