極 彩 グ レ - ス ケ - ル
「おー夕陽スゲー」
ネオが呟いた。
光が差す方向を見ると、
灰色の巨大な太陽が、
いままさに黒い海に
沈もうとしていた。
海の見える高台にある
うちの高校のいい所は
景色が美しいことでもある
そんなふうに校長が自慢げ
に話していたのを思い出す。
あたしには、
なんの価値もないことだ。
でも、ネオには大事な事
なのだろう。
すでに真顔でカメラを
構えているネオを見た。
まっすぐな瞳、
かたく結ばれた唇。
やっぱり美しい人なんだな、
そう思った。きっと、女の子
からももてるんだろう。
写真を撮り終わって、
ネオは家と逆方向へ歩き
だした。旧校舎のほうだ。
あわててついていく。
「家、あっちじゃないの?」
「いいからついておおいで」
にこにこしながら
そのままネオは歩いていく。