極 彩 グ レ - ス ケ - ル
「恋をしたことは?」
ネオが尋ねた。
「ないよ。あ、一回だけ」
「あるんだ」
「小学校の時、ね。恋って
呼べるかわからないけど」
「叶わなかったの?」
「こんなあたしにも優しく
してくれる子で、大好き
だったの。でも偶然聞いたの。
嫌だよあんなガリ勉メガネ、
障害者なんてごめんだって」
「そんな…」
「本当のことだから仕方ない。
特にショックも受けなかったな。
でも、そのときから人を好き
になることを諦めてる」
「誰かに恋をしたいとは思う?」
「どうなんだろうね。
そこまで人と深くかかわる
ことをしないから。恋なんて
しようとも思ってないよ」
「そう」
「それよりどこに行くの」
「着いたよ。ほら」
そこは共用の駐輪場だった。
自転車をここに置いてるの
だろうか。学校にも駐輪場
はあるのに。