極 彩 グ レ - ス ケ - ル
それはきっと幸福な世界
4限目が終わり、チャイムが鳴った。
クラスじゅうが気の抜けた溜息や
腹減ったぁ、という呟きで溢れる。
売店に昼食を買いに行くもの、
仲のいい者同士で机をくっつけて
弁当をつつく者。
教室が活気に溢れる。
窓際の席で、いつものように
ひとりで手製の弁当をひろげよう
とした時、教室の入り口で信じ
られないモノを見た。
ネオだ。
だらしなく制服を着て、長い髪
を後ろで縛っているけど、
あれはネオだ。一年の教室で
何をしているんだろう。
近くの女子集団がちらちらと
ネオを見ながら小さな声で話して
いた。かっこいい、とかネオ先輩、
とか聞こえる。有名人なんだろうか。
ネオは出入り口の壁によりかかり、
うちのクラスの女子と話をしていた。
なぜか胸がちくりとした。
あの女子のは、たしか藤崎加奈という
名前だった気がする。
活発で美人で、バスケ部のエースで
あるらしい。美人な藤崎さんとネオ
は画になった。
藤崎さんの表情は見えなかったが、
ネオは藤崎さんに何か言っていた。
藤崎さんが首を傾げ、ネオが教室
内を見回した。
目が、合う。