極 彩 グ レ - ス ケ - ル

ネオは何かを考える素振りを
みせて、別の戸棚をなにやら
ごそごそと漁ると、あたしの前
にばさばさっと紙の束を置いた。

「これって…」

「そう。全部入部届け」

「何枚あるの?」

「50枚以上はあるかな」

「50枚…」

「第一に、部室にそれだけ
入れないだろう?絶対」

「確かに。しかも、女の子ばっか」

「第二に、彼女達は本当に写真
を愛しているのだろうか?」

「写真っていうより部長目当て?」

「写真部をそんな部にしたくないんだ」

ネオは悲しそうに呟くと、

紅茶を注ぎ分けた。

あたしはもそもそと弁当を開く。

「いいなぁお弁当。おれ毎日
売店のパンだし。味気ねえわ」

「ひとり暮らしですからね」

「お弁当は作ってもらってるの?」

「お母さんと暮らしてるけど、
今単身赴任中だから自分で」

「うっそ。めっちゃえらい。
てか料理うまいんだ。すげぇ」

「うまくなんかないですよ」

「ガチで食費払うからおれに
飯作ってきてよ。もうパン
いやだ。飽きてきた」

「え」

「駄目?」

「駄目じゃ、ないけど…」

「ピーマンとにんじん嫌い」

「わかった」

「楽しみぃ」

「期待しないで」

「ありがとう色」

「どういたしまして」


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