極 彩 グ レ - ス ケ - ル

何も考えずに教室に帰ると、
たくさんの視線、大体は女子
からの視線に出迎えられた。

席について教科書を広げた。

五限めの古典の教師が
教室に入ってくるのが見えて
視線の鎖から解放された。

息をついて外を見る。
葉桜が風に揺れていた。

変わらず灰色の風景。
元気で、やさしくなれる色。
色というのは感情を豊かに
するのだろうか。それならば
それを認識できないあたしの
心が貧しいのにも納得できる。

そんなことを考えていた時、
会話を交わしたこともない隣の
席の男子が、あたしの机の上に
折りたたまれた紙片をおいた。

どうしていいかわからずに
固まっていると、その男子が
小さく芹沢から、と呟いた。

芹沢。そういえばクラスに
そんな苗字の女子がいた。

たしか、芹沢めぐみという
名前だった気がする。

とりあえず紙片を広げてみる。

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