極 彩 グ レ - ス ケ - ル
『目のことなら、知ってる。
なにも気にしないでいいよ。
どうとも思わないもん。
それに喋らなくても結構♪
あたしがうるさいくらい
喋りちらすからさ♪』
『そうなの?それなら、
よろしくお願いします。
つまらない奴だけど』
『やったぁ!しきって名前で
呼んでもいい?あたしの事
めぐでいいからっ♪』
『しきでいいよ。めぐって呼ぶ
から…がんばる』
『何をがんばるの?わら
授業終わったらはなしかけ
に行くからねーっ♪』
顔を上げて芹沢めぐみを
見ると、にこにこして小さく
手をふっていた。
小さく手を振りかえしてみる。
顔が上気してしまう。
こんなの、なれていない。
でも、悪くはない。
いつもは騒がしくて嫌いな
休み時間を、心待ちにして
いる自分に気づいた。
確実に、あたしの世界が
新しくなりつつある。
戸惑いも多いけれど、
でも、悪くはない。
きっと、この気持ちは
ネオの言ったあの葉桜の
色と似ているんじゃないか
そんな気持ちで窓の外を
仰いだ。五限めの終礼が
校舎に鳴り響いた。