極 彩 グ レ - ス ケ - ル

「ななななななな何いって」

「だから慌てすぎやって」

めぐみが突っ込む。

「色は、かわいいからねぇー
気づいてはいないみたい
だけど。なんか守ってあげ
たくなるかわいさだよねぇ」

詩織はにこにこしている。

「しかも才女。入試トップだった
ってほんとう?噂になってるよ」

かえも微笑んでいる。

「ほ、本当だけど、偶然で」

「やっぱすごいやん!自慢
の友達やわぁ!うちにも
勉強おしえてぇや!」

めぐみはなんだか嬉しそうだ。

「でも、いくら勉強できたって
あたし、こんなんだしさ」

いつもどおり自分を卑下
する言葉が口から飛び出す。


「それ。うち、色のそーゆー
とこはあんまよくないと思う」

めぐみが急に真剣な顔になる。

「え」

「色が思ってるほど、皆気にして
なんかいないし、色はいいとこ
いっぱいあんのに、自分に自信
がなさすぎるんじゃないかな?」

かえが、ゆっくりと言ってくれる。


「だれでも、自分に完璧に自信が
もてるワケじゃないよぉ。でも、
少しでも自分のこと好きになって
あげなきゃ。大事にしてあげなきゃ。
うちらは、これから色のいろんな
とこ知って好きになってくと思うよ?
だから色も色を好きにならなきゃ」

しおりはそう言って笑いかけた。


胸が、苦しくなった。

痛いんじゃない、悲しいんじゃない。

「わーっ!ごめん!傷つけるつもり
はなかったんや!だから、色、
泣かないでよーっ!」

めぐみが泣きそうな顔に
なっている。

泣かないで?ってめぐみは言った。

頬に手をあてる。

熱い水分が手を濡らした。



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