極 彩 グ レ - ス ケ - ル

終礼が終わり、三人と別れて
とりあえず写真部の部室へ向かった。

がらり、とドアを開けると
牛乳パックを手に持ったネオと目があう。
「カフェオレ、飲める?」

あたしが頷くと、またビーカーで
牛乳を温めはじめた。

「ネオって、すごいんだね」

「すごい?」

淡々とカフェオレを作りながら
ネオが顔をこっちにむけた。

「うん。頭もいいしかっこいいって
ちょっと不良なとこもいいらしい」

火をつけようとした煙草を
灰皿においてネオが笑った。

「おれは自分のことをとんでもなく
平凡だと思ってるけどね。いったい
そんなの誰にきいたの?」

「とっ…ともだち」

「そう。どうしたの?顔赤い」

「あのね、ネオ、笑わないでね」

「笑わないよ」

「あたし、今日友達ができた」

「そうなんだ、良いことだよ」

「あたし、今までちゃんと友達って
呼べる友達いなかったの。目のこと
気にして、あんまり自分から誰かと
仲良くなろうなんてしなくて、でも
その子たちは気にしなくていいって、
もっと自分に自信持てって、言って
くれたの。うれしくて、授業中なのに
泣いちゃった。でも、本当に嬉しくて」

ネオは微笑みながらマグカップを
渡してくれた。

「よかったね。大事にしないと」

「うん!あ、おいしい」

「よかった。おれ、これ飲んだら
暗室で現像しようかと思ってる
んだけど、色はどうする?」

「暗室?現像?」

「写真を現像するんだよ、あっちの
暗室で。光を入れちゃだめだから
途中で出られないし、現像液は臭う
からあんまりおすすめしないけど」

「でも、ここで一人でいてもすること
ないし、興味あるから見ててもいい?」

「構いはしないけど、退屈かもよ?」

「平気。退屈には慣れてるから」
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