極 彩 グ レ - ス ケ - ル
ネオは駐輪場のほうへ踵を返し、
すたすたと歩き出す。慌てて追う。

ネオは難しい顔をしていた。

「ネオ、どうしたの?」

「苦手」

「え?」

「おれ、正直藤崎さん苦手なの」

「どうして?かわいいし、きっと
いい娘だよ。バスケも上手いんだって」

ネオは、驚いてあたしを見た。

なぜ驚かれるのかわからず首を傾げた。

「色は、人の悪口を言わないの?」

ネオが、聞く。

「悪口?」

「うん。女の子が好きなやつ」

「言わないなぁ。あたし、どっちかと
言うといつも陰でばかにされてたし。
それがすごくいやだった。だから人に
も言わないよ。っていうか人に言える
ほどできた人間じゃないもん、あたし」

「色は、偉いね」

「どうして?」

「とにかく、偉いよ。
はい、これかぶってね」

ヘルメットを手渡される。
二度目でも、慣れないものだ。

ぎこちなくあごで止め具をして、
髪をヘルメットから逃がす。

「おいで、色」

ネオが、バイクにまたがったまま
こっちを見た。
白い肌。さらさらした髪。
< 64 / 117 >

この作品をシェア

pagetop