極 彩 グ レ - ス ケ - ル


テストは、前日にかえが教えて
くれていた甲斐もあって、わりと
はやめに解きおわった。

あくびが零れる。

春が終わり始め、
汗ばむ陽気が続いていた。

相変わらずの灰色の視界だが、
なぜか、少しだけ生き生きして
いるように思った。


答案が回収される。
授業が始まる。

教師に出された問題も解き終り、
窓の外をぼーっと見る。

中庭を挟んで正面の
三年棟が目に入る。

ネオは、授業を受けてるのだろうか。
ネオが真面目に授業を受けるのは、
なんだか似合わないような気がした。
でも、成績はすごくいいらしい。
もしかしたら結構、真面目な生徒?
いや、煙草にバイク通だ。決して
真面目ではないだろう。

「えー次、水野」

急に数学教師から
名前が呼ばれて現実に引き戻される。

「はい」

「もう、解き終わったか?」

「はい」

「前にでて、書いてくれ」

「わかりました」

黒板では、話したことの
ない男子が一生懸命に解答を
板書していた。

「すまんが、水野は解を水色の
チョークで書くように」

なんでもないように教師が
あたしに言った。
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