極 彩 グ レ - ス ケ - ル
席に戻らず、扉へ向かった
めぐみたちの顔でさえ、
見れなかった。
「おい、水野」
動揺しながら、教師が声をかける。
「色!?」
かえの声がした。
「気分が悪いので、保健室に
行ってきます」
ふりかえって教師に言う。
視界の端に、笑っている藤崎
さんとキラキラグループが映る。
ふらりと、廊下に出た。
保健室に行く気はさらさらない。
あたしの足は、しぜんと写真部
の部室に向かっていた。
ネオにもらった合鍵で、部室
をあける。はじめてひとりで
入る写真部は、やっぱり、静かで
やさしかった。
ネオのまねをして、実験道具で
紅茶をわかす。
手が、小刻みに震えて
茶葉を零してしまった。
へたへたと、座り込む。