極 彩 グ レ - ス ケ - ル
情けないと思った。
普通のひとが、普通にできる筈
のことが、できない自分。
友達ができても、
理解者ができても、
所詮はかわらない事実。
あたしは、全色盲だ。
あんなふうに、皆に知れて。
めぐみたちはどう思っただろうか。
同情と気遣いの対象になる、
そんな友達なんていらないだろうか。
どうして普通に生まれて来なかった?
どうして普通に見えない?
あたしが、何をした?
なんで、こんな思いを
しなくちゃいけないの?
数日前までの自分なら、
多分こうも取り乱さなかった。
気にしない、といってくれる
大切な友達ができたから。
安心した、と言ってくれる
遠く離れた母の声を聞いたから。
生きていて、そういってくれる
ネオが、いたから。
そのひとたちに支えられていたのに
たったあれだけのことで折れそうな
貧弱な自分の心が憎いから。
だから、泣いている。
写真部の床に、ぱたぱたと
涙のしずくが落ちた。