極 彩 グ レ - ス ケ - ル


情けないと思った。

普通のひとが、普通にできる筈
のことが、できない自分。

友達ができても、
理解者ができても、
所詮はかわらない事実。

あたしは、全色盲だ。

あんなふうに、皆に知れて。
めぐみたちはどう思っただろうか。

同情と気遣いの対象になる、
そんな友達なんていらないだろうか。

どうして普通に生まれて来なかった?

どうして普通に見えない?

あたしが、何をした?

なんで、こんな思いを
しなくちゃいけないの?

数日前までの自分なら、

多分こうも取り乱さなかった。

気にしない、といってくれる
大切な友達ができたから。

安心した、と言ってくれる
遠く離れた母の声を聞いたから。

生きていて、そういってくれる
ネオが、いたから。

そのひとたちに支えられていたのに
たったあれだけのことで折れそうな

貧弱な自分の心が憎いから。

だから、泣いている。

写真部の床に、ぱたぱたと
涙のしずくが落ちた。
< 78 / 117 >

この作品をシェア

pagetop