極 彩 グ レ - ス ケ - ル
呼吸を整えて椅子に座った。

ネオの前で泣いてしまった
恥ずかしさが今更押し寄せた。

湯気をたてる白いカップが、
目の前に置かれた。

そっと口をつける。

「おいしい…ハーブティー?」

「カモミールだよ。落ち着くように。
もう、大丈夫なの?」

ネオが心配そうに
こっちを見ていた。

「大丈夫。変なとこ見せて、ごめん」

「そんなの気にしないで。でも、
驚いた。だってもう、二限目の
おわりくらいだろ?」

ネオがそう言った直後、
三限めの始業チャイムが鳴った。

「もう、三限始まったよ」

あたしは少し笑って言った。

「あーほんとだ…」

「ネオは、何しようとしてたの?
授業、あってるんじゃないの?」

「いや、三年全体で進路ガイダンス
やってるらしくてね。興味ないし
サボりにきたんだよ。あと、コイツ
も接続したかったしさ」

ネオが、かたわらにおかれた大きな
包みをぽんぽんと叩いた。

昨日までなかったそれに、初めて
気がついた。

「それ、なに?」

ネオは、少し笑ってかけられていた
布をとった。
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