極 彩 グ レ - ス ケ - ル
                
「昼休みになってさ、すぐにめぐが
藤崎んとこいこうとしたんだよね。
でもあたしはとめたわけ。それで
あいつが逆上してさらに酷くなって
も困るしさ。でもめぐはきかなくて」

そう言ってかえが弁当を広げて
いるめぐみを見た。
めぐみは憮然とした表情をして、
かえのあとを続けた。

「かえは止めたけど、正直はらわた
煮えくりかえっててん。一言言わな
気ぃすまへんくてさ。んであたしと
かえがやめろやめないでモメててさ」

詩織が続く。

「あたしはどーしたらいいかわかんな
くてさ、おろおろしてたの。そしたら
後ろにネオ先輩がいて何があったの?
って聞いたの。あたしテンパってて」

「めぐは怒りで支離滅裂だったから、
あたしが一応ざっと説明したのね」

「そしたらネオ先輩、うちに有難う
って言って、真っ直ぐ藤崎んとこ
行ったんや。藤崎はネオ先輩に
気づいて浮かれた顔しよりよった」

めぐみが言った。

「それで、ネオはどうしたの?」

ネオをちらりと見ると、
聞いていないように紅茶をついでいる。

「『あ、藤崎さん。君のメールが俺
に届かないのは、アド変とかじゃ
なくて拒否だから。もうメールしないで』
って、笑顔で、満面の笑顔で言ったの」

かえが笑いをかみ殺しながら言う。
あたしは呆気にとられていた。
詩織が続ける。

「顔真っ青にして、加奈ちゃんきいた
のね。『なんでですか?』って。
そしたらネオ先輩、『性格悪い子、
正直無理なんだ』って、また満面の
笑みで。そんで、戻ってきたの」

しおりも、少し笑っている。

「その直前まで、ネオ先輩のアド知って
て毎日メールしてるって自慢げにキラキラ
グループの前でゆうててん。やから、
相当キたんやないん?いつも自信満々
のあの顔がポカーンって間抜け面なって
んの見て、なんか怒りも収まってん。
ってか、めっちゃスッキリしたわ!」

めぐみが大笑いしながら言った。

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