極 彩 グ レ - ス ケ - ル

「そんなことないよ…」

呟いたが、まわりは
聞いていなかった。

「マジでおいしい」

「ネオ先輩一生懸命食べ過ぎ」

「でも色料理うまいんだねー?」

「よく作るの?」

「ほぼ、ひとり暮らしだから」

「え?おとんとかおかんは?」

「父さんはあたしが小さいころに
離婚したからいないの。母さん
はオーストラリアに単身赴任してるし」

「へーお母さんなにやってるの?」

「あっちの大学病院に勤めてる」

「え!?じゃあ色のお母さんって
お医者さんなの?すごーい!」

「一応、医者だけど…」

「だから色頭いいねんなぁ」

「少しトシにわけてあげてよ」

「かえ酷いっ」

「でも、ひとりって淋しくない?」

しおりの質問に、返答に詰まった。

今までもくもくと食べていたネオ
が顔をあげ、小さく言った。

「慣れるんだよ。ひとりに」

「慣れる?」

かえが聞き返す。

「うん。長いことひとりでいたら、
淋しいのにも、孤独なのにも慣れ
るんだよ。なにも感じなくなる。
だって、おれもそうだもん」


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