極 彩 グ レ - ス ケ - ル

「色は控え目すぎだって!
もっと威張っちゃいなよ!」

「せや。色、ほんますごいわ」

「これはネオが目をつけるの
もわかるわー。色ちゃんスゲェ」

「自慢の友達だわ」

あんまりみんなが褒めて
くれるから、頬が熱くなった。

「ってか、そろそろ時間じゃね?」

ネオが言った直後に、予鈴が鳴った。

「やっば!いこ!」

しおりが立ち上がって、はっとした
ようにあたしを見た。

「色、どうする?」

かえが静かに聞く。
答えは、決めていた。

「行く。大丈夫だから」

はっきりと言うと、ふたりの顔が
ほころんだ。後から肩に手を回される。

「それでこそうちらの色や!行くで!」

めぐみの一言に、腰をあげた。

「色、ごちそうさま。放課後ね」

ネオは笑って手を振ったから、
後ろでぶんぶんと手を振る
トシくんにもあわせて手を振った。

「やばー!間に合わないかも!」

「走るよ!」

「色、コケたらあかんで!」

「うん!」

初めて走る昼下がりの廊下は、
初夏を思わせる陽気で眩しかった。



< 91 / 117 >

この作品をシェア

pagetop