極 彩 グ レ - ス ケ - ル
「色は控え目すぎだって!
もっと威張っちゃいなよ!」
「せや。色、ほんますごいわ」
「これはネオが目をつけるの
もわかるわー。色ちゃんスゲェ」
「自慢の友達だわ」
あんまりみんなが褒めて
くれるから、頬が熱くなった。
「ってか、そろそろ時間じゃね?」
ネオが言った直後に、予鈴が鳴った。
「やっば!いこ!」
しおりが立ち上がって、はっとした
ようにあたしを見た。
「色、どうする?」
かえが静かに聞く。
答えは、決めていた。
「行く。大丈夫だから」
はっきりと言うと、ふたりの顔が
ほころんだ。後から肩に手を回される。
「それでこそうちらの色や!行くで!」
めぐみの一言に、腰をあげた。
「色、ごちそうさま。放課後ね」
ネオは笑って手を振ったから、
後ろでぶんぶんと手を振る
トシくんにもあわせて手を振った。
「やばー!間に合わないかも!」
「走るよ!」
「色、コケたらあかんで!」
「うん!」
初めて走る昼下がりの廊下は、
初夏を思わせる陽気で眩しかった。