極 彩 グ レ - ス ケ - ル



それから、時間は矢のように
すぎた。桜の葉はだんだんと色
を濃くしているように見えた。

なんとなくぎこちなかった
めぐみたちとも、随分自然に
話せるようになっていた。
めぐみたちのほかにも、何人かは
クラスメイトとも話せるように
なった。やっぱりはじめは緊張
したけれども。

ネオは相変わらずだった。
あれから、いつのまにかバイクでの
送迎が日課となっていた。
ネオいわく「お弁当のお礼」
なんだそうだ。あたしはほぼ
毎日ネオの弁当を作った。
お昼は大体写真部の部室で、
ネオと食べた。ネオは毎回、
おいしいと言って食べてくれる。
たまにめぐみたちやトシくん
もきて、賑やかに食事するのも
楽しかった。

ネオとは色んな話をした。
本や音楽の話が多かった。
ネオとはよく趣味があって、
話していてすごく楽しかった。

ただ、お互いのことについて
は、あたりさわりのないことだけ
話していた。まだ、気を使っていた。

でも、ネオが写真を撮りにいくのに
ついていったり、あたしのピアノを
きいてくれたりして、たまに歌った
りもして、その時間はやっぱり、
とてもとても楽だった。

藤崎さんはあのあと、ネオと関係
を復活させようと躍起になっていた。
結局、またもどこからかアドレスを入手
して毎晩のメール攻撃を続けている。
ネオは藤崎さんの話になると難しい
顔をすることが多い。




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