極 彩 グ レ - ス ケ - ル
「色は?」
「え?」
「進路、どうすんの?」
アイスティーを飲みほしたネオが聞いた。
「多分、適当に公立じゃないかな。
いつ目がダメになるかもわかんないし
将来のプランもとくにないし、ね」
「音楽系とかいかないの?」
「ないよー?堅実にいく」
「えー」
ネオは不服そうだった。
あたしはふと外を見る。
「あ、」
「海の方、雨みたいだね」
となりにきていたネオが呟いた。
遠くに見える海は、暗く翳っている。
「単車だしやべえじゃん。急ごう」
ネオが荷物をまとめはじめて、
あたしもそれについていった。
天気予報では一日晴れだったのに。
バイクのところについたときには
既に空は泣きだしそうだった。
湿った空気に、すこしあせばむ。
あたしがヘルメットをかぶって
ネオのうしろにまたがると、
ネオは煙草に火をつけてあたしにイヤホン
を差し出した。いつもどおり耳に
つっこみ、ネオの腰に手をまわした。
セヴンスターの、甘い匂い。
車体がゆれて、爆音の群青日和が
鼓膜をゆらす。
本当にネオは選曲がうまい。
歌詞どおりだもの。
ぽつりと、腕を重い水滴が濡らした。
ぽつり、ぽつり、の
感覚がせまくなってゆく。
ざああ、に音がかわる。
豪雨じゃないか。