黄色いバナナ
それ以上慎弥は、口を開かなかった。
『おじゃましまぁす』
みんなコンクリートで出来たオシャレに家に入っていく。
あたしは男の人の家に入るのは、初めてだった。
唾を飲んで入ろうとしたら、前の慎弥が急に立ち止まって背中に鼻が当たってしまった。
「すっ、すいません」
『ごめんね、大丈夫?』
ただ鼻をうっただけなのに…。
「だ、大丈夫です!」
軽く微笑む彼は、うっとりするくらい綺麗な顔だった。
『入ろっか』
中に入ると、オレンジの電気が暗いところに慣れた目の上を殺る。