猫とうさぎとアリスと女王
Ⅱ時計うさぎを追いかけて
 こんな気持ちは初めて。

毎日が憂鬱。

勿論、毎日学校に行かなければならないのは憂鬱でしたが、それ以上の憂鬱が私を襲うのです。



あの人に会いたくて仕方がありません。

あの人のことばかり考え、校内ではきょろきょろと彼の姿を探すばかり。
しかし一向に彼は私の前に姿を現しませんでした。

いけずなお方。

一目でもいいから会いたい・・・。
私の王子様・・・。




 「今日は王子様に会えた?」


イオは私にそう問いかけます。

私は首を横に振りました。



我が校の生徒は近いにも関わらず、送迎用の車でやって来る方々が多いのです。
毎朝列を成すのはメルセデスベンツやポルシェと言った高級車ばかり。

校門は人々でごった返すのです。


私は毎朝その人ごみの中から王子様を見つけようとしました。


しかしその努力も虚しく、王子様を見かけたことすら未だ無いのです。
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